舞台は原作・映画とも異なり、2007年夏・藻奈美が16歳の時から始まる。 映画「秘密」の原作であり、98年度のベストミステリーとして話題をさらった長篇、ついに文庫化。 【「BOOK」データベースより】 1999年、広末涼子さん、小林薫さん主演で映画化された本書。 妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美を乗せたバスが崖から転落。妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。その日から杉田家の切なく奇妙な“秘密”の生活が始まった。映画「秘密」の原作であり、98年度のベストミステリーとして話題をさらった長篇、ついに文庫化。【「BOOK」データベースより】1999年、広末涼子さん、小林薫さん主演で映画化された本書。2010年には志田未来さん主演でテレビドラマ化もされています。今では第一線で活躍されている東野圭吾さんですが、長らく大きなヒットに恵まれず、本書が東野さんの出世作になりました。常識では考えられない設定と、そこで揺れ動く人間のリアルな心情が特徴で、後半に進むにつれて物語に引き込まれていきます。この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。杉田平介は、テレビのニュースでバス転落事故を知ります。最初は気に留めていませんでしたが、そのバスは長野の実家に帰省中だった妻・直子と娘・藻奈美が乗っているバスでした。ニュースで平介は二人が病院に搬送されたことを知りますが、すぐに直子の死亡が確認されます。藻奈美も外傷こそないものの植物状態で、意識の戻らない可能性がありました。直子の死ぬ直前、平介は直子と藻奈美の手を握らせます。すると、藻奈美は奇跡的に目を覚ましました。数日後、藻奈美は会話ができるくらいまで回復しますが、平介に信じられない事実を伝えます。体は藻奈美ですが、その意識は直子だったのです。二人が手を握った時、直子の意識が藻奈美に移り、藻奈美の意識を追い出してしまったことが予想されます。平介ははじめ信じられませんでしたが、藻奈美は平介と直子しか知らないことを次々と言い当て、信じるしかありません。このことは二人だけの秘密となり、退院後、直子は藻奈美として新たな人生を歩むのでした。こうして奇妙な夫婦二人の生活が始まります。直子は結婚指輪をはめていると不自然ということで、テディベアの中に埋め込み、それを抱きながら寝ることにしました。被害者の会が設立され、バス会社との間で賠償金のことで交渉が進められます。その中で平介は、バスの運転手の妻・梶川征子と知り合います。征子は遺族に謝罪した上で、夫の幸広が超過労働をしていたことを明らかにします。しかし、それは会社に強要されたわけではなく、幸広自身が望んだことでした。その一方で梶川家は貧乏で、幸広の稼いだお金の行方は分かりませんでした。行方が分かったのは後日で、幸広は毎月現金を札幌に住む元妻・根岸典子に送っていることが判明します。しかし、その理由は征子にも分かりませんでした。直子は藻奈美として小学校に通い始めます。慣れないことも多く、周囲に違和感を抱かせることも少なくありませんでしたが、なんとか小学生として振る舞います。やがて直子は、同じ後悔をしたくないと考えるようになり、中学受験を決意。当たり前のように合格を勝ち取るのでした。 小学校の卒業式後、手紙で征子の死を知った平介。残された娘の逸美は親戚の家に引き取られ、梶川の遺品である懐中時計を平介に渡します。蓋の裏には、小さな男の子の写真が貼ってありました事故後、平介と直子の関係にも変化が起きます。中身は直子ですが、見た目は藻奈美ということで、今までのように性行為をするわけにはいきません。平介は妻帯者のつもりですが、どうしても若い女性に心が揺れ動くこともあり、その度に自分を律します。今の自分は夫、父親、それとも何なのだろうと平介は悩むこととなります。 その後、直子の中学校生活は順風満帆で、直子は新たな人生を楽しんでいるように見えました。誰が見てもただの中学生です。やがて直子は思春期のように平介に裸を見られることを嫌がり、夫婦の間の溝が深まっていきます。平介は出張で北海道に行くと、空いた時間を利用して根岸家を訪れようと考えていました。一度目の訪問は不在で、電話をかけると息子の文也が出ます。平介の宿泊するホテルで会うことになりますが、文也は懐中時計に貼られた写真の少年で、今は大学生でした。文也は典子には会わせないと確固たる意志を持っていて、幸広と関わりを持ちたくないという気持ちが現れていました。平介は無理やりお願いし、懐中時計に貼ってあった文也の写真だけを渡すのでした。直子は、今度は医学を勉強したいと思い立ち、難関高校を受験し、合格を勝ち取ります。高校に入ると、直子はテニス部の練習で帰りが遅くなり、勉強はどうしたと平介は苛立ちを募らせます。しかし、それは若さを手にした直子への嫉妬でした。後日、家に相馬というテニス部の先輩から直子宛てに電話がかかってきます。その様子から、相馬が直子のことを異性として意識しているのは明白でした。直子は相馬との関係を否定しますが、それでも平介の不信感は拭えません。やがて盗聴セットを仕掛けて直子の電話を盗み聞きしたり、彼女宛の郵便物を全てチェックするなど、その行動はエスカレートしていきます。クリスマスイブを控えたある日、相馬は直子にデートの誘いをかける電話をしてきます。平介が聞く限り、男女の関係というわけではありませんでしたが、直子はきっぱりとは断りません。そしてクリスマスイブ当日、直子は平介に嘘をつき、相馬との待ち合わせ場所に向かいます。平介もそこに向かうと、その現場をおさえ、直子を連れ帰ります。直子が盗聴のことを知ると二人の関係は最悪になり、しばらくろくな会話すらありませんでした。その後、直子は元の夫婦の関係を取り戻すために性行為を持ち掛けますが、寸前のところで平介の中の何かが訴えかけ、結局、二人は性行為をやめるのでした。そんなある日、平介のもとに典子から電話がかかってきます。彼女は用事があって東京に出てきていて、二人は会うことに。典子は最近になって文也の持っている写真に気が付き、平介が自分を訪ねてきたことを知ったのでした。そして今日平介を訪ねてきたのは、本当のことを伝えるためでした。平介は、幸広が罪滅ぼしのために典子に仕送りをしていると思っていましたが、本当は違いました。そもそも文也は幸広の子どもではなく、それが発覚したのは文也が小学校二年の時でした。それが引き金となって幸広と典子は離婚しましたが、幸広は典子を恨んではいませんでした。その後、幸広は文也の大学進学のためのお金で典子が困っていることを知ると、文也の父親として助けたいと超過労働をしてまでお金を稼ぎ、送っていたのでした。平介は、幸広の父親としての決意を聞かされ、自分もある決意をします。家に帰ると、平介ははじめて直子のことを『藻奈美』と呼びます。夫としてではなく、父親として彼女と付き合うことを決めたのです。直子はその時、泣いて部屋に戻ってしまって話ができませんでしたが、異変は翌日起きました。なんと、藻奈美の人格が五年ぶりに目を覚ましたのです。藻奈美は平介の話を聞いても戸惑うばかりで、すぐに眠りについたかと思うと、今度は直子の人格が現れます。どうやら二つの人格が藻奈美の体を共有している状態のようです。直子は自分が消える日が来ることを予期しながらも、藻奈美が戻ってきたことを喜び、今までのことなどを手紙を通じて藻奈美に教えます。奇妙な家族の生活は思いの他うまくいき、だんだんと藻奈美の表に出る時間が長くなるのでした。ある日、文也が平介のもとを訪ねます。文也は自動車関連企業に興味を持ち、平介のいる会社の選考を受けたのでした。内定はほぼ間違いなく、平介は文也を家に連れ帰り、藻奈美がもてなします。文也の帰宅後、藻奈美は平介に明日、山下公園に連れて行ってほしいとお願いします。これは直子の意思であり、山下公園は夫婦のはじめてのデート場所でした。 翌日、山下公園に着くと直子が現れ、別れを告げます。それはあまりにもあっけないもので、藻奈美が目を覚ますと、直子が現れることは二度とありませんでした。それから時は経ち、二十五歳になった藻奈美は文也と結婚することになりました。結婚式当日、平介は懐中時計が動かなくなっていることに気が付き、荻窪で直子の遠縁の親戚・松野がやっている時計屋を訪れます。そこで松野は藻奈美に内緒だと前置きした上で、藻奈美の結婚指輪を自分が用意したことを明かします。その時、藻奈美は直子の指輪を持ち込み、新しい結婚指輪の材料にしてほしいと依頼していました。平介は気が付きます。直子の結婚指輪はテディベアに埋め込んでいて、そのことを知っているのは平介と直子だけです。式場への道中、平介はそのことについて考え、ある結論に至ります。直子は消えたのではなく、消えたふりをしたのはないか。もっといえば、藻奈美の人格もまた直子の演技であり、山下公園で直子が消えた日、彼女は直子という人格を捨てて藻奈美として生きていく覚悟を決めたのではないかと。 式場に戻って藻奈美と二人きりになり、平介は藻奈美ではなく直子だと確信します。しかし、そのことを伝えるつもりはありません。平介は文也を別室に連れて行くと、娘をあげる代わりに殴らせてほしいとお願いします。直子の分も含めて二発。文也は了承しますが、平介は殴る前にうずくまり、涙を流すのでした。夫婦だけの秘密を抱え、先に進むためにそれぞれ決断を下すその姿は、感動せずにはいられませんでした。東野圭吾さんの作品の中では初期のものにあたりますが、今でも色褪せない名作です。東野圭吾さんのランキングを作りました。
週に1冊は本を読むだーまんです。 物心ついた頃から、本が大好きでした。 その要因はおそらく家庭環境にあって、3LDKのうち1部屋が本で埋め尽くされていた家で育ちました。 そんな本好きな両親の元で育ったため、強要されるまで …
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